■もの忘れの原因を調べ、認知症の診断治療を行います。
■認知症患者さまの介護でお悩みの方のご相談や、周辺症状(問題行動)に対する治療も行っています。
☆認知症は早期発見、早期治療が大切です☆
物忘れには生理的なもの忘れと病的なもの忘れがあります。生理的なものは歳をとるとみなさまありますが、もの忘れをしてもヒントがあればすぐに思い出し、また記憶に残っているのですが、それを引き出すことが困難になってきます。病的なものはアルツハイマー型認知症に代表されるように、もの忘れが原因で生活に支障をきたしてくるものです。本人はもの忘れをしていることに気付かないことが多いのですが、家族が「以前と様子が違い、違和感がある」ということで気付かれることが多いです。病院に来られた時はすでに症状が進んでしまっていることもあり、あやしいと思った時は早めに受診することをお勧めいたします。
◎もの忘れには、こんな原因のものがあります。
アルツハイマー型認知症 |
脳血管型認知症 |
レビー小体型認知症 |
前頭側頭型認知症(ピック病) |
脱水、ビタミン欠乏 |
脳腫瘍 |
正常圧水頭症 |
うつ病 |
甲状腺機能低下症 |
ストレス |
感染症 |
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認知症でもっとも多いのがアルツハイマー型認知症です。
認知症は高齢化に伴ってその数は増加していると報告されています。
当院では近隣の病院(済生会泉尾病院など)と提携しているため、認知症の診断には欠かせないMRI検査への予約ができます。検査後、結果は当院にて説明させていただき、その後もサポートしていきます。
認知症に対する新しい薬が出てきていますので、早めに内服することで進行予防が可能です。
★こんな症状を感じていたらご相談ください★
□ 同じことを言ったり、聞いたりすることが多くなった
□ 物のしまい忘れや、置き忘れがある
□ 財布やクレジットカードなどの大事なものをなくすようになった
□ 物や人の名前がなかなか思い出せない
□ 以前好きだったことや、趣味をする気がおきない
□ 献立を考えるのがおっくう
□ 今までできていた仕事や作業でミスが多くなった
★ご家族のこんな症状にお気づきの方もご相談ください★
□ 何度も同じことを言ったり、尋ねたりする
□ 時間や場所の感覚が不確かになってきた
□ 慣れている場所で道に迷った
□ 以前好きだったことや、趣味に対して興味がうすれた
□ 財布を盗まれたと言って騒ぐことがある
□ ドラマや映画の内容を理解できない
□ 鍋を焦がしたり、水道の閉め忘れが目立つようになった
□ 以前より怒りっぽくなった
□ 以前よりだらしなくなった
診療の流れ
◎1日目 ≪例:10月1日≫
当院にお越しください。(事前にお電話にてご予約いただけると、少ない待ち時間で診察に入っていただけます)
初診時、問診などを行い状況をお伺いします。
必要に応じて、済生会泉尾病院・大正病院・多根総合病院等、近隣の病院での検査予約をいたします。
↓
◎2日目 ≪例:10月3日≫
直接、予約先の病院へ行って検査をうけていただきます。
(当院からの紹介・予約制のため、お待たせする時間が少なくてすみます)
検査後はそのままご帰宅ください。
↓
◎3日目 ≪例:10月7日≫
当院にお越しください。各病院から検査結果が届いております。当院にて検査結果のご説明を行い、治療や今後の方針について調整いたします。
※介護・福祉サービスにつきましても遠慮なくご相談ください。
※介護ストレスのご相談も承っております。
もし、家族や自身が「認知症」と診断されたら・・
認知症の方や認知症の可能性がある方に対して、ご相談に応じます。
認知症の治療を行い、介護のアドバイスをいたします。
必要に応じて、介護保険を申し込まれるときに必要な主治医意見書や、
成年後見制度鑑定書の作成なども行えます。
まずはお電話でご相談ください。
Q.日本での認知症の頻度はどれくらいですか?
65歳以上の高齢者で、認知症の人は3.8-11%といわれています。
多ければ、10人に1人以上は認知症ということになります。高齢になれば頻度がさらにまします。85歳を超えると3人に1人は認知症と言われています。
Q.認知症を疑う場合はどのようなときですか?
まずは物忘れをよくすること以外に、怒りっぽい、最近意欲がない、時間の感覚がなくなった、判断力が落ちたなどの症状がある場合は認知症が疑われます。
自分(家族)の症状をセルフチェックする
Q.認知症の薬はありますか?
今まではアリセプトという薬しかありませんでしたが、新しい飲み薬がでました。
アリセプトは物忘れ症状以外に、意欲の低下や抑うつ症状にも改善作用があります。その他新しい薬のメマリーも「いらいら」症状に作用があります。
内服にて予防作用があるだけでなく、最近では改善作用も指摘されています。症状が進行してからでは遅い場合もありますので、早めの受診をお勧めいたします。
Q.アルツハイマー型認知症はどのようにして起こりますか?
脳の中にアミロイドβタンパクという異常な物質の蓄積が認められ、その後タウタンパクが神経細胞内にたまりその後神経細胞が死んで行きます。海馬周辺の細胞が主に障害されるため、記憶障害が早期から認められるのが特徴です。アミロイド仮説と言われていますが、なぜそのような物質がたまりやすい人がいるのかはまだよくわかっていません。
Q.夜起き出して怒鳴ったりするのですがどうしたらよいでしょうか?
認知症になると中心症状のもの忘れと周辺症状といわれるものが見られます。
怒ったり、幻覚が見えたり、徘徊をしたりする症状が見られることがあります。
怒りっぽいという症状も認知症の症状の一つです。症状を落ち着かせる薬もありますのでご相談下さい。
Q.認知症を予防するのはどのようにすればよいでしょうか?
認知症ガイドラインでは、青魚の摂取、適度な飲酒、緑茶の摂取、運動習慣、教育歴などが予防作用があると報告されています。また血圧管理、糖尿病の管理、肥満、喫煙などの生活習慣も予防作用があると報告されています。
活動的な方は歳をとっても認知症になりにくいと言われています。積極的にいろんな人と話をする機会を持ちましょう。また定期的な運動は認知症を予防することができると言われておりますので、ウォーキングなど定期的に運動をしましょう。
Q.アルツハイマー病になりやすい遺伝子がありますか?
アポE4遺伝子をもっているとアルツハイマー病になるリスクが約3倍になります。これは片親から遺伝子を受けついだ場合ですが、両親から引き継いだ場合はリスクは10倍になります。この遺伝子をもっているからといってアルツハイマーに必ずなるわけではありませんが、なりやすいということです。この遺伝子をもっている人は40-50歳台から予防対策をする必要があります。高コレステロール、糖尿病、高血圧などの生活習慣病があとアルツハイマーになりやすいので、食事や定期の運動をする必要があります。
親がアルツハイマーの場合は、注意しておいてもよいかもしれません。
Q.認知症の新しい薬の副作用はありますか?
アリセプトでは吐き気などの消化器症状が認められることがあります。胃薬などと一緒に飲むことで最近ではあまり副作用はありません。まれに興奮症状がでることもあり、その場合は中止する必要があります。認知症貼り薬がありますが、かぶれて皮膚が赤くなることもあります。薬を使い始めたときは注意が必要です。
Q.認知症の家族にどのような対応をしたらよいでしょうか?
認知症のある方は脳の病気のため、同じことを繰り返し聞いたり、怒りっぽくなったり、幻覚がでたりいろいろな症状がでます。家族も疲れていたりすると、きつくあたってしまうこともあると思います。しかしこれは逆効果でしかありません。
敬意をもって対応する、笑顔をわすれないようにする、スキンシップ、その人を受け入れる態度で接することで、異常行動が落ち着いたりすることがあります。
Q.最近、もの忘れが進んできたかな?と思う場合。
軽度のもの忘れ症状で認知症の一歩手前のような状態を軽度認知機能障害といいます。年齢と共に記憶力が低下することは誰でもあると思います。脳のMRI検査にて海馬に萎縮がみられる場合は、今後アルツハイマー病に進展していく可能性もあると指摘されています。
心配の方は一度脳のMRI検査をしてみることをお勧めいたします。
アルツハイマー病は急に始まるわけでなく、10年ぐらいかけて少しずつ進行してきて症状がでてくると言われています。早めの予防が大切です。
Q.認知症の初期の症状はどのようなものですか?
同じことを繰り返し聞く、大事なものを置き忘れるなどの記憶障害。いつも同じ服装をしている、薬を飲み忘れる、料理の味付けが変わるなどの生活面の変化。以前やっていた趣味をしなくなるなど意欲の低下などがある場合は認知症が疑われます。ご本人が気づかない場合が多いので、ご家族が心配になって病院につれてこられることが多いです。
Q.レビー小体型認知症とはどのようなものですか?
レビー小体型認知症とは、脳の中にレビー小体というものがたまってきて物忘れ症状をきたす病気の一つです。もの忘れ以外にも、パーキンソン病様の症状、幻視、妄想、アパシー、転倒や失神、レム睡眠期行動異常症などをきたすことがあります。
パーキンソン病でも症状が進行してくると認知障害が認められてきますが、本質的には同じグループの疾患ではないかと考えられています。
Q.認知症の原因にはどのようなものがありますか?
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症などがあります。その他、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍など手術することでよくなる認知症もあります。その他内科的には、甲状腺機能低下症、臓器不全、睡眠薬の副作用などでも認知症様の症状をきたすことがあります。
まずは原因をしっかり調べる必要があります。アルツハイマー病でもお薬を飲むことで進行を遅らせることが可能です。
Q.高血圧、糖尿病はアルツハイマー病と関連しますか?
高血圧糖尿病はアルツハイマー病の危険因子です。中年期(40-65歳)に血圧が高いと高齢期(65歳以上)に認知症になる可能性が高くなります。
高齢になってから治療するのではなく、中年期ですでに血圧が高い場合は予防目的でお薬を飲んでおいたほうがよいです。糖尿病の場合も同様のことが言われています。
Q.運動はアルツハイマー病の予防に有効ですか?
定期的な運動することで認知症の予防作用があることがたくさん報告させています。すでにアルツハイマー病になっている人にも進行を抑制する作用があることが報告されています。
高齢になると積極的な運動が勧められます。
Q.認知症を予防する食べ物はありますか?
野菜や果物は抗酸化物質が含まれており、脳の保護には有効との報告があります。その他ベリー系のものや、赤ワインはポリフェノールが含まれており脳にはよいようです。緑茶、紅茶、コーヒーも抗酸化物質が含まれています。魚の脂は脳によく認知症になりにくいと報告されています。
脂でもマーガリンなどのオメガ6脂肪酸は脳に炎症を起こしてしまうので控えめにしたほうがよいです。
Q.認知症の家族がいる場合、家族の対応はどのようにすればよいか?
家族が認知症になった場合にどのような姿勢でのぞめばよいか・・・
認知症ガイドラインにその対応法が載っています。
1)患者の能力の低下を理解し、過度に期待しない。
2)休息な進行と新たな症状の出現に注意する。
3)簡潔な指示や要求を心がける。
4)患者が混乱したり怒り出したりする場合は要求を変更する。
5)失敗につながるような難しい作業を避ける。
6)障害に向かいあうことを強いない。
7)穏やかで、安定した、支持的な態度を心がける。
8)不必要な変化を避ける。
9)できる限り詳しく説明し、患者の見当識が保たれるようなヒントを与える。
以上、難しい対応と思いますが推奨されている対応です。